それからそれから

奴らが帰った後の話
ジメッとしていた事務所の空気が一瞬にして沸騰する。
口火を切ったのは来年で定年になる部長だ。
そして、俺の年下の先輩。
その次は、昨日付けで退職になった社員。
そして、メソメソしながら文句を言い出す経理
みんなが馬鹿社長に俺のことをPUSHしていたらしい事を聞き俺は久々に感動の渦に巻き込まれていた。
今まで自営業で人に評価されると言うのはほとんど無かった。自営業の評価、それはお客がちゃんと来店し儲かっているかどうか?それが自営業の評価である。
仲間にいい評価をされると言うのは自営業とは違う感動がある。
そして、こんな短い期間にこれだけの評価を仲間たちに頂戴した自分にさらに自信がもてる。
経理には手取りを増やすためのテクを教わり、ほんとは違反らしけどw
みんなが協力してくれると言う・・・俺も止めたいと言い出す年下の先輩。
どうやら子供がたくさんいて今の給料じゃきついらしい。しかし転職してもそれなりの給料がもらえるかどうかわからん、逆に減ってしまう可能性がかなり高い。(こうやって人間と言うのはしがらみを作り動けなくなっていくのである)
さらに2月の決算後、ほんとに給料が上がりボーナスがでるのか?不安になったという。
理想郷常務はこの会社を変えようとしている。彼の方向性ではこの会社がよくなるには時間がかかるそれはみんな知っている。成果がすべてだと言う常務の言い分に相当へこんだ様子だ。
2月の決算後、まずは福利厚生部分が本格的に変わっていくと言う。
企業年金に入れる、人間ドックもつく、この会社はたしかに大企業並みの厚生がつくようになる。
しかしだ、現状30代40代のリーマンは老後のことなんて考えられないだろう。いかに今の生活から脱するか?
それしか考えられないはずだ。
かといって自分で仕事をとってこれるはずも無い。そりゃそうだうちの会社は飛び込みの営業なんてできない事業をしているから。
俺の一件により続々と不安の声があがる中、俺はスーツを着替えるために裏へと向かう。
ダメージジーンズを履き、ラフな格好に戻った。
皆さん、結論はほぼ決まっていますが実際のところ非常に悩んでいます。
辞職すべし!の場合はご迷惑をおかけしますと俺は頭を下げた。
そして、ライダーズJKを着込み事務所を出た。